2020/07/08 11:24

いつもご覧いただきありがとうございます。


おかもとかもの【糸まき】の土台パーツについて、ご紹介します。

絹糸を巻く前の土台の話なんて地味すぎ‥と思うかもしれませんが、実に奥が深い(と思っている)ので、読んでいただけたら嬉しいです。


歯車のようなギザギザがついたこの土台パーツ、実はどこにも売っていないオリジナルなんです。

3Dプリンターを使って、糸まきのデザインに合わせてギザギザの数や大きさ、色を変えて作成しています。


今回は、「絹糸の花咲く小さな糸まき」シリーズの白い土台を作成します。



まずはこちらの機械をご覧ください。

光造形3Dプリンター、「ELEGOO Mars」です。

超初心者にも難なく使える神のような存在、それが「ELEGOO Mars」!

神と思いつつ、いつもは「えるごちゃん」と馴れ馴れしく呼ばせていただいております。

 

パーツの設計は3D CADソフトを使って行っていますが、今回は設計部分のお話は省いて、3Dプリンターでの出力について書いていきたいと思います。

 

では、さっそく、えるごちゃんに白いUVレジンを注いでいきます。トポトポ‥


レジン液は、ANYCUBICのものを使用することが多いです。

土台パーツはプラスチックではなく、レジンでできているんです。

レジンというと透明でキラキラしているイメージですが、3Dプリンター用にいろんな種類のものがあるんですよ。


注ぎ終わったら、設計・出力調整が済んだデータをポチっと選んでポチっとスタートボタンを押します。


すると、えるごちゃんの上部に設置されたプレートがずんずんと下がってきて、白いレジン液に浸かったと思ったら、うんともすんとも言わなくなって、しばらくしたら動き出して小刻みに上下運動を繰り返し、20分かけて60回上下したら、

なんということでしょう‥

プレートに土台パーツが10個も貼りついているではありませんか‥


        \ \   印刷完了です。 / /


読者の皆さんのポカーンとした顔が想像できます。


 このとき何が起こったかというと、レジン液を入れたバットの底側からプレートに向かって紫外線を照射して、60層に分けて土台パーツを硬化させていったという訳なんです。小刻みに上下運動を60回繰り返したのは、紫外線照射をつかず離れずの距離で60回行ったということなんですね。


この土台パーツは3mmの厚さなので、「0.05mmの厚さに輪切りにされたデータが下から1枚ずつ硬化されていって、60枚が重なって厚さ3mmの立体になった」と言ったらわかりやすいでしょうか。


伝わっている‥でしょうか‥?


そんなこんなでプレートに貼りついたパーツたちを、はがしてきれいにしていきます。


剥がすときにはうっすーいヘラを使います。


剥がし終わったら、次は表面に残ったレジン液を有機溶剤(IPA:イソプロピルアルコール)で洗います。

ギザギザの隙間部分に残りやすいので、液を変えて2度洗いします。


このとき、有機溶剤の臭いが苦手・健康面も心配なので、窓は全開にしたうえでナウシカのようなマスクを着けています。
手袋と保護メガネもつけているので、全開にした窓からご近所さんにこのヤバい姿を見られないかハラハラしながら作業しています。

洗い終わったら、乾かして、UVランプで2次硬化させます。

そして、紫外線にあてすぎるとオレンジ色っぽく変色してしまうので、UVカットスプレーで両面をコーティングします。

ようやく完成です!
設計・出力調整
3Dプリンターで印刷
有機溶剤で洗浄
2次硬化
UVカットスプレーでコーティング

②~⑤の作業をして、半日でこのくらいの土台パーツが完成します。
(クリアの大きめの土台も合わせて作成しています。)


そして、絹糸を巻かれた土台たちはこのような素敵な姿に変身し、お客様のもとへと旅立っていきます。
(ひとり感動するのであります‥)


いかがでしたか?
もし、お手に取っていただいた際に、土台パーツにも想いを馳せていただけたら嬉しいです!

お読みいただきありがとうございました。